第5回 GOSEN編

第5回
株式会社ゴーセン
スポーツ用品部 企画開発課 係長

“三浦 昭宏” さん
 日本人が欲する”繊細な感覚をMADE IN JAPANのガットブランド「ゴーセン」が突き詰める!!
シンセティックガットのパイオニアとして長きにわたり数多くの製品を世に出してきたゴーセン。
今夏、2年の開発期間を経て発売された「G-TOUR3
プレイヤーに最適な「感覚」を実現したポリエステルガットの開発秘話を
ガット変遷・トレンドを交えてゴーセン企画開発課の三浦氏に語っていただきました。

Q. 新製品のGツアー3発売から一ヶ月程経ちましたが商品の評判またはメーカさんとしての手応えはいかがですか?
A. 昨年発売のG-TOUR1と比べても出荷ベースで約1.3倍の動きを見せており、順調な出だしだと考えております。
※ちなみにG-TOUR1は弊社人気ガットのエッグパワーと同じように人気を博していました(エッグパワーは日本のポリエステル市場でトップ10に入って人気モデル)。
G-TOUR1はどちらかと言うとハイエンドモデル…他社で言うとアルパワーやプロハリケーンツアーなどの部類に入ります。
当社でもハイエンドモデルを会社として作れるという所を見せたいという思いもあり開発に2年をかけて作り上げた経緯です。
現在人気のシリーズを超えるような勢いで動いていて…
また商品の評判自体も購入頂きましたユーザー様の声やネットでの書き込みをみる限り当社が思い描いたものと似ていて手応えは感じてます
「食い付いて弾く」・・・・・・!!  これがキーワード・・・
実際ストリングは人それぞれ感じ方が違うケースが多いんですよ。硬さが売りのモデルが柔らかく感じるという人もいたり
今回のG-TOUR3は年代問わず・・・今のところ全ての方々「食い付いて弾く」と言ってもらえてます。
少し話は変わりますが・・・
Q. だいぶ昔になりますが、私が中学校・高校時代はミクロスーパーしか無いくらいの印象でしたストリングは…
ここ10年程で市場でのストリング変遷の流が速いように感じますが。ガットメーカーさんとしてどのように捉えていますか?
A.
ミクロスーパーが発売されたのが32年前・・まだ当社では売上No1のモンスターヒット商品なんですが・・・(笑)
やはり、ガットはラケットの進化とプレースタイルの変化によって起きています。
ラケットメーカー各社が色々な素材を使われているようで、ラケットが硬くなっている傾向にあるように思われます。そのため、トッププレイヤーになればなるほどスイングもコンパクトになっており 打つというよりはたく(叩く、弾く)というメカニズムになっています。同時に振動吸収性、減衰性もあがっているので以前の様にポリが硬いと感じる方も少なくなってきており 違和感なく使えるというのがポリエステルガットの普及を後押ししていると考えます。
現在のラケットをご使用のプレイヤーの方はラケットの進化でボールスピードも速くなっていると思いますので、全体的なプレイ、ラリーのテンポも速くなっていると感じます。
そのため、インパクトの際に短いスイング時間で打つことになり、強いパワーが無いと衝撃を感じやすくなるために硬いだけのガットが敬遠されやすくなっているのだと考えております。
特にポリは以前の様にしっかりした打球感と耐久性だけでなく、パワーのあるプレイヤーでもインパクトの際は柔らかい打球感のポリを好み、あまりパワーが無いと 自覚されている方がマルチを使う傾向が増えているのはそういった点からだと感じています。
実際アメリカなどの市場でも「ソフトポリ」この言葉が良く飛び交っていて、日本でも人気のモデルが好まれているという話を聞きます。
但し体格の差もありますからアメリカで言うソフトポリは日本で言う中間位の柔らかさですかね。
柔らかいと言うと語弊がありますが、インパクト時に食い付きてしっかり弾く(パワーアシスト)ポリエステルが今のトレンドではないいでしょうか。
Q. 先ほど他社さんのストリングの名前が出ていました。他社さんのストリング自体は研究したりするのでしょうか?
A. そうですね。研究しますよ。
Q. どこかのお店に買いにいったりするんですか?(笑)
A. 買いますね。ただお店には買いに行かないですよ・・・店頭で買いに行くと・・・「何?次はこんなシリーズ作るの?」
情報が洩れてしまう恐れがあるので、通販などを利用してます。
Q. 商品を研究する時は、商品を溶かしたりするんですかね?
A. 色々な角度から分析してそれを基に開発をし、何度も試作を繰り返します。
後は素材の配合を分析しておそらくこんな打球感覚になるかなあと想像しテスターに打ってもらいヒアリングをしますよ。
G-TOUR3の開発には2年の時間をかけました。
三年半もの研究を経て世に出たG-TOUR3試作品を作ってテストして…試作品を作ってテストして…30回以上トライしていますよ……

試行錯誤の上に世に出てきた商品

これは期待できるかも……

Q. 30回以上トライして……ゴーセンというブランドが品質にこだわり続けている証拠になりますよね
A. 今はそのスタイルですね。ここ10年様々なポリエステルを市場に出してきましたが…結果として完成度の高い物しか
市場では支持され続けないんですよね。
ストリングが切れる切れないという完成度ではなくて、ユーザーさんが満足いく商品を提供していかなくてはいけないんです!!
今のトレンドを意識して作ればそれが商品として世にでる頃にはトレンドが変わっていたりしますから…
特にラケットが変化するとストリングのトレンドも大きな転換期を迎えるんですね。
Q. ラケットは素材に変化が出ると大きく変わりますが。新たなポリエステル素材はどこからか見つけてくるのですか?
A. 元々ゴーセン自体が糸のメーカーですので。凄く多くの素材メーカーさんと翻意にさせてもらっているので
情報交換のスピードが凄く速いんです。
会社自体、シートベルトや釣り糸、医療用の縫製糸など難易度の高い物を65年間作ってきてる歴史があるので、素材メーカーさんなどが
こんな素材あるよとか声をかけてくれるんです。
Q. MADE IN JAPANブランドだからこその質にこだわっている姿が見えますね。 確か工場は兵庫県でしたよね
A.
今は兵庫県加東市にあります。以前は淡路島に工場があったんですよ。淡路の工場では釣り糸をメインで作っていて
その時にラケットスポーツができたからバドミントンガットを作ろうよ・・てなって…社長がバドミントが好きで(笑)
今後はテニスがトレンドになるという事でテニスストリングに着手しはじめた経緯です
様々なジャンルの物を作ってきた事が当社の開発能力の下地になってきていて…
当社の強み=開発能力  ここだけは譲れないですね!!
今まで蓄積してきた物…秘伝のタレじゃないですけど…
Q. ストリングの作られる工程を少し教えてもらえますか
A. ガットの種類によって違いますが、大まかにいうと、ナイロンモノフィラメントは芯糸に側糸を巻き付けてコーティングを行います。
マルチフィラメントは全体を撚ってコーティング、ポリエステルは材料を溶かして押し出して延ばした後にコーティングを行います。
その後、品番を入れて巻き取り、単張やロールにするためにカットしてパッケージングしていきます。
Q. 作る工程で難しいポイント、気を付けているポイントはありますか?
A. 生産する上で気をつけているのは製品の個性の許容範囲の設定と生産後の検品ですね。
生産方法は企業秘密なので中々お話しできませんが、モノづくりをする上での当たり前の話になりますが、品質を安定させる上では生産する前の準備と出来た後
の製品のチェックというのを特に重要視しております。それが出来てこそ製品の個性と品質を保つことが出来ると考えています。
G-TOUR1の時は製品になる過程で納得できないものを相当な量を没にしたこともありました。ただ、それが出来るのも自社工場がある強みであり、MADE IN JAPANの正体だと思います。
MADE IN JAPANブランド「ゴーセン」が絶対の自信を持つG-TOUR3
Q. このG-TOUR3の特徴を教えて下さい
A. 先ほどの話にあったようにプレースタイルがコンパクト化している分、プレイヤーはガットにパワーとフィーリングを両方を求めていると感じています。
G-TOUR3はそのニーズを先読みし、プレイヤーが信頼できるガットとして使用してもらえるモノを目指して開発しました。
G-TOURシリーズ自体が「勝つ」と言うワードにこだわっているシリーズです。
柔らかいポリはくいつくが弾きが悪く、弾きが良いと硬く感じるのが従来の大半のポリですが、G-TOURシリーズはスイングスピードに応じた打球感とパワーが特長です。
G-TOUR1はトッププレイヤーの使用に耐えうるガットとして開発しましたのでプレイヤーによっては硬くて合わない、もしくは飛ばないと言われる方もいらっしゃると思います。
1ほどのスイングスピードや筋力が無くてもしっかりくいついて、適度に飛んでくれます。
それによりプレーの再現性が高まり、アグレッシブさが出ることでより勝利に近づくのではと考えています。
Q. 感覚の部分を商品化するのは凄くむずかしいですよね?
その感覚の部分は専門のテスターがいるのですか?それともすべて機械でデータ化するのでしょうか?
A. 両方です。専任のテスターもいますし、研究センターでの物性テストやハイスピードカメラでの分析も行っています。
弊社も長い年月開発をしているので、創りたい性能のあたりをつけて試作をつくり→実打→結果の考察と分析→素材や製法の調整→実打の繰り返しになります。
実打はターゲットに応じて行いますので、例えばG-TOUR1はプロ選手メインで行いました。
G-TOUR3はプロに性能面の確認をしてもらいましたが、不特定多数の学生やジュニアの皆さんに聞き取りに行きました。
テスト時間も長時間打つと慣れるという事もあり1分くらいで終了してもらってます…最初の印象ですよね
打球感は本当に「感覚」なので、彼らには好き嫌いで判定してもらいました。
やはりテニスはメンタルが大事ですので、「良いな」、「使えるな」と感じてもらえないとプレイヤーは高いパフォーマンスが発揮できないと思います。
そういった多数のテスターの感覚を集約しこだわったのがG-TOUR3です。
最初に話をしましたユーザーさんの意見と当社の製品性能が一致しているのは、もともと市場とブレが無い商品を市場に出しているからではないでしょうか…
Q. 今後もGツアー3のようなストリングが増えていくと思いますが。
更に高みを目指すべく次の試作品とか作り始めていますか? 言える範囲で教えて下さい
A. 詳しく言えませんが、次の開発は行っています。ぜひ期待してください。
しかし、良いと思えるモノが完成しないと出しません。
G-TOURシリーズという物は定番化されてきていますが・・開発して数年がたっています。
市場が柔らかい物を望んでいなければミスマッチがおきますし・・・そこは開発のスピードと今のテニスの現状をみながら
試行錯誤していきます。
三浦氏による
G-TOUR3の
説明動画はこちら!

打てばわかるこの違い!!

GOSEN G-TOUR 3


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